3. Jun 11 02:03 Light Rain

 イーサンはジェームズから車のキーを受け取ると、右側のサイドドアに差し込み、静かに開けた。ジェームズは軽く頷いて礼を言い、車内に滑り込む。ドリンクホルダーに手を突っ込み、煙草の箱らしきものを探り当て、指で淵をなぞりながら一本だけ取り出す。ついでにライターも拾い上げ、火をつけて深く吸い込んだ。フエゴが待ち伏せていたら味わえなかったであろう煙を愛おしそうにゆっくりと味わう。この一服こそが、ジェームズにとって生を実感するのに最高の方法だった。 ...

#Novel #strangler

4. Jun 11 03:23 Heavy Rain

 スラム街に入った途端、ジェームズとイーサンは異様な空気を肌で感じ取った。窓の外に目をやるが、通りには人影ひとつ見当たらない。街灯の明かりは消え、まるで時が止まったように辺りは静寂に包まれていた。連日ニュース番組を騒がせていたこの街は、今や暗闇に沈むゴーストタウンと化していた。 ...

#Novel #strangler